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以下、大分合同新聞GX PRESS紙面より
看板製作、取り付けなどの「イースト」は、文字が光るよう施した看板(樹脂発光文字)を手掛ける。九州で制作できる業者は片手で数えるほど。2020年自社ブランド「Spineedge(スピンエッジ)」として商標登録した。
1996年の創業以来、主に中・大型看板を手掛けてきた。ただ、台風など自然災害の続発もあって屋外広告は受注が減少傾向にあり、より付加価値の高い製品づくりを模索。約10年前、福岡市内の商業施設で目にした樹脂発光文字に将来性を直感し、技術の習得と向上に努めてきた。2019年以降、東京や福岡での大型商談会に複数回出展したことで、自社の技術力と製品の魅力を広く知ってもらうことに成功。全国の商業施設などから注文を受けている。
東政信社長は19年まで、商談会は効果が見通せないとして、出展したことがなかった。一歩を踏み出せたのは、補助金の後押しがあった点も大きかった。
参加する県中小企業家同友会の勉強会で出展を勧められて意欲は高まり、制作技術への自信もあった。だが、能力を最大限生かすには新型機器が不可欠。単独で巨額の設備投資や出展費用を工面するには負担が大きすぎた。
ここで、同友会の仲間や取引していた信用金庫担当者らの助言が光った。中小の設備投資などに生かせる国の「ものづくり補助金」(上限1千万円=一般型)を知り、弁理士の力も借りて応募。審査に通り、念願の新型機器を導入した。納得がいく質のサンプル品を無事に仕上げることもできた。商談会の費用は大分市の「中小企業見本市等出展事業補助金」(上限50万円)も使って工面し、東京・ビッグサイトの大型商談会で“デビュー”を果たした。その後の商談会で評価と受注をつかみ、成長への突破口をこじ開けていった。
2年間で収益構造はがらりと変わった。今では付加価値のより高い樹脂発光文字が売り上げの3~4割を占める。その後も随時、補助金を申請し生産体制を強化している。
初出展時、会社は伸び悩んでいた。補助金が挑戦への背中を押してくれた─という思いは強い。「設備を生かし、看板を通じて顧客のブランド力向上に貢献していく」と東社長は力を込める。